ITIL 的目标

ITIL推進マニュアル

組織内の重要なレベル

第 1 章

組織の視点は、2つの要素から構成される傾向があります。1つは体験的なもの、もうひとつは組織図から得られるものです。しかしこの視野からは、組織内にITILの活用を奨励するための有効な論拠を作成するために必要な視点は得られません。多くの場合、体験的なものとは役割の境界線、職責、そして組織内で費やす時間のために制限されます。これで十分な場合もありますが、一般に視野は限られています。組織図は、役割と職責を描写するものですが、報告レベルを示すものでもあります。理解すべき重要な部分は、組織内の職責のレベルです。

すべての企業組織、そして多くの部門が以下の3つのレベルに取り組んでいます。

  • 戦略。決定、方針の確立、規則の作成、そして予算などの財務上の設定が行われるレベル
  • 方策。決定の実行、方針の実現、規則の実行、そして予算などの財務上の確認が行われるレベル
  • 実践。方針や規則、財政的制約の範囲内で決定がさらに活発に実行される草の根レベル

例えば、ある組織がウェブ上での製品販売を決定する場合、その決定は戦略レベルで行われます。次の段階はウェブサイトでの実行です。これは方策レベルで行われます。次はウェブサイトの運用と維持管理です。これは実践レベルで行われます。各レベルにおいて、IT基盤を支えるために必要なプロセスからの異なる期待値があります。

図1.戦略、方策、実践の役割

図1は3つのレベルと、それぞれのレベルの構成要素を示しています。

戦略

図1で示された戦略の役割を担うのは、ルール・プロバイダー、専門家、そしてアドバイザーです。ルール・プロバイダーはルールを確立し、自らの経験と専門家によって提供された情報に基づき決断します。専門家は、入手できる最大限の情報を用いた決定が確実に行われるよう意見を提供したり、状況の分析を行います。追加情報あるいは専門的な情報が必要な場合は、組織はアドバイザーに意見やアドバイスを求めることもできます。

前述の例を用いると、戦略レベルがウェブ上での自社製品販売の決定をします。この決定には、完璧で正確な情報が必要なため、専門家が意志決定プロセスに対し意見をします。また、専門家の知識レベルによっては、さらにアドバイザーも起用される場合があります。

方策

図1に示す方策の役割を担うのは、ガード(Guardian)とコーディネーターです。コーディネーターは決断事項を実行する責任があり、またガードは、決定事項が、戦略レベルで特定された時間と予算の範囲内で実行されることを確認します。ここで注記しておきたいのは、企業全体を観たときのプロセスなので、これら全ての役者がIT部門に含まれているわけではありません。この方策レベルでのプロセスが、確実にROIが合格水準に達するためのキーファクターとなります。なぜなら、このレベルで延滞、または過小評価された開発計画は、投資収益率(ROI)に大きな影響を与えることになりかねないためです。

前述の例では、コーディネーターはオンラインショッピングの導入に必要なリソースに関するすべての開発・実施業務の責任を担います。その間、ガードは、プロジェクトが確実に方策レベルに提供された内訳と予算を満たすようにプロジェクトをモニターします。

実践

最後に、プロバイダーとカスタマーという2つの役割があります。プロバイダーが担う責任は、IT基盤がシステムの受益者であるカスタマーの要求を確実に満たすことができるようにすることです。プロバイダーがサービスをより効率良く低コストで供給するほど、組織が総所有コスト(TCO)に費やす経費が削減されます。例えば、カスタマーに延滞を引き起こす既知のエラーによりシステムの機能が停滞しつづけると、そのシステムのTCOは高くなります。

前述の例では、プロバイダーは、実施後のオンラインショッピングシステムが交わされたサービス・レベル・アグリーメントで説明されるようなサービスを確実に提供できるようにしなければなりません。

レベル内の組織階層

この3つのレベルという概念の魅力は、会社だけでなく、組織階層(レベルの中のレベル)として部課にまで適用することができるということです。例えば、IT部門内に戦略レベル(IT役員)、方策レベル(開発・プロジェクト管理)、そして実践レベル(サービス管理)が存在することもよくあります。したがって、必要な場合には、会社レベルとITレベルの両方にITILの正当性を示すことができるのです。しかし多くの場合、会社の戦略レベルがITILの検討に関わることはないと思われます。

あなたはITILを売り込むべき正しい組織階層を特定しなければなりません。例えば、IT管理を採用していない会社の場合、会社の戦略レベルがITILに関心を持つことはほとんどないと考えられます。この場合、会社の戦略レベルは、ITがその部門の管理を行うべきであると考えるでしょう。一方、ITをビジネス上の利点と考えている会社では、会社の戦略レベルはほぼ確実にITILとその機能に関心を示すでしょう。

適切な組織階層の特定

組織は多種多様ですから、あなたはとるべき道を決定する前に慎重に自分の組織を分析しなければなりません。以下の5つの共通したパラメータにより、ITの位置付けに対するあなたの組織の見解を総合的に理解することができます。

  • 財務は、ITへの投資に対する組織の見解を示します。組織がITを投資ではなくコストと考えるなら、組織は商習慣の改善のためにITに投資するよりむしろITコストを最小限に抑えようとするでしょう。一般に、ITを投資とみなす組織ほど戦略レベルがITILに関する決定にかかわる可能性が高いと考えられます。逆に、ITをコストと考えている組織においては、戦略レベルがコスト面以外でITILに関心を持つことはほとんどないでしょう。
  • マネジメントは、ITリソースを所有するということを組織がどう考えているかを示します。問題は、マネジメントがITに集中すべきか巨大な多国籍企業によく見られる様々なロケーションに拡大すべきかということです。IT管理が分散すると、マネジメントのITILへのコミットメントが非常に難しい場合があります。
  • オーナーシップは、組織がITアウトソーシングをどう考えているか、すなわちITリソースをアウトソースすべきかそのまま組織が管理するかを示します。組織内でITを管理すると決めた組織は、すべてのレベルでITILに興味を持つでしょう。逆に、ITのアウトソーシングを決めた組織の場合、委託者が満たすべき規準の1つとして組織がITIL基準を満たすことを確立しない限り、おそらくあらゆるレベルにおいてもITILに興味を持つことはないでしょう。
  • イノベーションは、組織が先端技術を使用したいかあるいは既存の信頼でき技術を使用したいかを反映します。このパラメータに関しては、ITILは全ての分野に適合します。
  • リレーションシップは、ITとそのカスタマー基盤との関係がどの程度形式的かということに関連します。その関係が形式的であればあるほど、組織の戦略レベルはよりITILに興味を持つでしょう。多くの場合、組織は形式化を求めるため、それがITIL推進の鍵となります。

これらの5つのパラメータをチャートにまとめることにより、組織のビジネスの促進要因と焦点を比較することができます。組織のメンバーは、自分達がIT組織をサービスプロバイダーまたはビジネスの成功要因として認めているかどうか評価する必要があります。

図2と図3は、ITに対する認識が異なる2つの組織のチャートを示しています。図2の組織は、ITをサービスプロバイダーであると考えています。図3の組織は、ITをビジネスの成功要因であると考えています。各組織に対して、チャートはそれぞれの組織が5つのパラメータをどう評価しているかを示しています。このような分析から、組織は組織内の様々なレベルで重要な決定者がITをどのように認識しているかを洞察することができます。

図2.ITをサービスプロバイダーであると考える組織の分析

図3.ITをビジネスの成功要因であると考える組織の分析

図2と図3における回答と視点を比較すると、図2に示すような組織よりも図3に示すような組織からITILのサポートを得る可能性の方がはるかに高いでしょう。

どちらの視点が最も正確にあなたの組織を反映しているか判断するには、図2と同様の空白用紙を作成し、自分の組織に関してその用紙に記入してください。組織内の複数の人に同様に自分の組織に関して記入してもらい、結果を比較するとよいでしょう。組織の異なるレベルにいる人物と話し合いたいと思うかもしれません。これにより、ITILの促進を組織、部、あるいは課のうちどの単位で行うべきかの指標が得られるでしょう。何を決める場合でも、やはり3つのレベルに基づいてアプローチを構造化する必要があることに留意してください。つまり戦略、方策、実践の3つのレベルです。

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